「キャパシティ」
Written by.綾瀬 2004年11月02日(火)14:49


 自慢じゃないが、オレ的幸せのハードルはすごく低い。
 例えばさ、曇り過ぎない晴れ過ぎない絶妙な頃合いの青空を見たとか、適当に掴んだはずの洋服が新発見なナイスコーディネイトだったとか、そんなつまらないことにでも幸せは発見できるワケ。
 逆に言っちゃうとコレって、オレがいかに幸せじゃない人生送ってきたか、っつー話しになりそうなんでそれは考えないことにするケド、人生にちっちゃい幸せはいくらだって転がってて、そういう小っさい幸せ一個でも見つけられれば、その日は充分いい日たりえるワケよ、小さい幸せ発見で一日が充分幸せになれるの。…あれ。文章クドいな。
「どうしたんですか? 悟浄」
 だから考えごとしてんだから話しかけんなって。
 昨日戻ってきた同居人が目の前に差し出してきた朝食はたしかに立派だし、オレはただ寝ててもきちんとゴミの片付く生活もとても楽だ。でもそれは以前に戻った、ってだけで、それだけじゃ別にオレ的ハードルは越えない。そんなことじゃない。
「悟浄? 冷めちゃいますよ」
 いーからお前ちょっと黙っとけ。問題はそこだ、お前の喋り方なんだ。

おまえ、いつどこに敬称置いてきやがった。

 そんなことでも、オレの低いハードルは越えちまうの。オレの少ないキャパシティが埋まっちまうの。なんてことしてくれんだお前。
 おかげでしばらく、これ以上の幸せが期待できねぇじゃねーか。恨むぞ、八戒。



・ 書きビトコメント ・

 お久しぶりです。甘いのが書きたくなりました。ので小ネタ。
 冒頭の一行がふっと頭に浮かんでそれから広げてみたんですが、原作読み返したら敬称がとれたのが例のBE THEREで、意外に早い時期だったためなんとなく流れに矛盾が出来てしまってたいそう哀しかったです。ちぇ。同居時代の少なくとも何ヶ月かたった頃にしたかった…あの頃の悟浄てこんな性格してるかなあ;;

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