お題/53 「Hypnotic」
Written by.彼方 2004年03月25日(木)01:12
「…何の様だ?」 三蔵はベットに入ってはいるものの、煙草を吸っているところをみると寝付け無いらしい。 勿論俺は分かっててこんな深夜に訪れた。 俺も同室の八戒が寝付いた後、何となく寝付けなくて窓に目を向けた。 外では静かに雨が降り出していた。 4人で旅をしてて、雨が苦手なのが二人。 雨が降る前に一人は寝た。 もう一人は…そう考えたら足が悟空と三蔵がいる部屋に足が向かっていたのだ。 悟空は絶対に寝てる。 三蔵は寝れない。 俺には断言できた。 だから来たのだ。 「…何の様だ?」 不機嫌丸出しで聞いてくるのね。 原因は何のせいだろうね、三蔵様? 「火、貰いにきたわけ」 右手に挟んだ煙草をみせてみる。 「…ふん…」 手で弄んでいたジッポを投げ付けてくる。 用事がすんだらとっとと出てけ。 三蔵の目は俺を寄せ付けない。 まるで俺が襲いにきたとでも思ったわけ? あたり。 カチッ。 ジッポ独特の音。 この音に惚れた人間数知れず。 各言う俺もその一人。 タバコに火を着けながら、もう一人の住人の顔を覗く。 壁に向いて寝ている悟空の顔をいじっても起きる気配はない。 どうせだからつねってみるか。 「…何してんだ、テメェ」 面白がって遊んでいると、流石に三蔵の殺気が漂ってきた。 今、これ以上やることは得策じゃないよな。 「火、サーンキュ」 ジッポを渡そうとすると、さっきまでの警戒心はどこに行ったのか素直に手を出してくる。 すれてるんだか、素直なんだか。 「…!…」 出してきた手を引っ張るとあっさりと俺の元に崩れてくる。 好い加減三蔵も俺が火を貰いにわざわざきたんじゃないって気付いてくれよ。 予想外の反応に三蔵自身も反応がおくれた。 固まった三蔵の腕を引き腕に閉じ込める 「…なんのつもりだ」 「ん?夜ばい…?」 「…疑問系にするな。いや、そういう問題じゃ…」 呆れた果てた三蔵の煩い口を自分の唇でふさぐ。 抵抗して殴ってこようとした手はそのまま捕らえて両腕とも頭の上で固定する。 それでも抵抗する三蔵にはこの駄目押し。 「悟空が起きちまうかもしれないぜ」 「…なっ…」 三蔵は身体を強張らせ隣のベットを見た。 『太陽』と自分を称した養い子にみせられたもんじゃないだろ? なんか俺って悪い人、みたいな。 自分の思考に気をとられた三蔵の両腕を片手で三蔵の頭上にぬいつける。 もう片方の手でしっとりとした肌を弄る。 普段、着込んでいる肌は見た目よりずっと気持ちがいい。 いい加減抵抗を止めたのか、三蔵の手からジッポが離れた。 俺は手にしていた紫煙を口移しで三蔵に分け与えてみた。 他人の吸ったものなど美味くないよなぁ。 ほら、むせた。 だけど、悟空を起こさないように必死で声を押さえるのがなんかむかつく。 まだ手にしていたタバコを消し、三蔵の服を脱がせていく。 抵抗は唇と手で封じ、事を進めることにした。 さっきまでは優しくするつもりだったんだぜ? 「……くっ」 悟浄は三蔵の向きを変えて、背後からのしかかる。 普段は金髪と服に覆われている首筋が妙に白くて思わず噛み付いてみた。 「……!……」 お、なんとか声をかみ殺したな。 そんなに唇をかんだら血が出ちまうよ。 俺の指でもなめる? それはまるで迎え入れるが如く舌が絡み付いてきた。 たまんねぇよな。 もちろん、もう片方の手でも他の場所を愛撫することを忘れない。 「…ったく…そんなにいいなら、言葉で言えっつーの」 答えられないのは知っている。 俺がそうさせている。 悟空が寝るベットのとなりで・・・。 でも、ま、返事がないってことは良いってことだろ? じゃ、俺も遠慮なく己の高ぶりを押し付けることにした。 始めこそは抵抗するものの、三蔵の中はすぐに俺好みにとろけ始めた。 狭すぎて眩暈がしてきそうだぜ。 それに、流石の三蔵様もいい加減声がもれ始めてるぜ。 痛っ。 口内を弄っていた指に痛みが走る。 耐え切れず噛み切ったのだろう。 そして吸われている。 「…くぅ…あぁ…」 それでも声がもれてくる。 そろそろ限界? でもやめないよ。 だってあんたに疲れて欲しいから。 「…も…無理…っ…」 「ちゃんと言いな…三蔵…?」 「……っ」 ゆっくりと俺の望む言葉をつぐもうとする三蔵。 紫宝玉を見たくて正面から覗き込むと、顔をそむけ動きが止まった。 三蔵の視線の先には三蔵自身も失念していた悟空の姿が映ったらしい。 ちっ。せっかくいいとこまで追い詰めたのに。 静かでも寝てても何しててもお前には負けるかよ、このバカ猿が。 すっかり思考停止になった三蔵を俺の意地だけで今まで以上に追い立てる。 「…ご…じょ……あ…っ…」 俺は自分が果てる寸前で抜き、三蔵の白い腹にぶちまけ、三蔵も己の欲を吐き出し意識を手放した。 翌日、俺が起きてからも三蔵は寝ていた。 三蔵が最近寝不足なのを知っている八戒もあえて声はかけにこなかった。 取り合えず、飯を食って、またくるつもりで部屋を出た。 八戒とどうでもいい話をしながら昼時にもう1度部屋を覗くと三蔵はすでに起きていた。 「よ、おはよーさん」 「……」 三蔵は無言でいまだに寝ている悟空を見下ろしている。 「…三蔵さん?」 背中が怒りに震えてらっしゃいます? 「…キサマ…」 やべ…。 俺は背中に冷たいものが流れるのを感じた。 確かに昨日、三蔵様の大事な大事な悟空ちゃんに悪戯をさせていただきましたよ。 なんで気づくんだよ、この生臭坊主め。 「ははは…えぇっと、三ちゃんが声出しても起きなかったっしょ…?」 「…殺す…」 殺されちゃ、たまんないわな。 俺は三蔵が愛銃を取り出すより早く、床に落ちていたジッポを拾って部屋を出た。 間一髪で銃声が木霊した。 …本気で狙ってきやがった。 ふと外を見ると青空が広がっていた。 「…いー天気…ってか…」 雨が上がればいつもの日常。 さっき拾ったジッポだけが手の中に残った。 ・ 書きビトコメント ・ ●なんだろう・・・やっぱ悟浄っていい人?みたいな。そんな感じです。 書いててあと思ったのは八戒も三蔵も雨が嫌い(苦手)だけど、きっと悟空も嫌いだろうなって思いました。だって雨だと閉じ込められてたと時に動物さんが遊びにこないじゃないですか?そのうちそんな話も書きたいです。 ●最近、部長の教育の賜物で、攻にしか見えなかった生臭坊主さまが受にも対応できる脳みそになりつつあります。はめられてますな・・・。いや、いいんですけどね。 |