「扁桃」
Written by.彼方 2004年03月29日(月)03:11


「なぁ、八戒。あれ、何?」
「どれですか、悟空」

運転席の八戒は悟空の指差す方向を見た。

「あぁ。あれは…」
「桜だろ、バカ猿」
「桜?」
「前にやっただろうが、花見」
「ピクニックしたやつ?」
「それを言うなら酒飲んだやつ、だろ」

どちらもあっているようで間違っているような説明を八戒は苦笑しながら訂正した。

「残念ながら違いますよ。あれはアーモンドの並木道ですよ」
「アーモンド?」
「えぇ。よく似てますけどね。悟浄、嘘は教えないで下さいね」
「…はーい」
「アーモンドってあのお菓子にのってるやつ?」
「そうですよ」
「へぇ」
ちょうど並木道に差しかかり、悟空は生い茂る木を見上げた。

助手席で黙っていた三蔵は、口をあけて見上げている悟空に苦笑した。
三蔵は手だけで悟空を呼ぶ。

「何、三蔵?」
「バカが。ついてるぞ」
悟空の頭についている花びらをとってやる。

その行動に八戒はクスリと笑った。
それに気づいた三蔵は気まずげに八戒に告げた。
「…降りるぞ」
悟空はきょとんと三蔵を見た。
「へ?」
答えない八戒をもう1度呼ぶ。
「八戒」
照れ隠しであることが分かっている八戒としては、はいはいとしかいいようがない。

「えぇ。今日はあの辺にしましょうか?」
「花見酒ってか」
後部座席にいた悟浄が身を乗り出してきた。

「八戒?悟浄?」

「行くぞ、悟空…腹減ってないなら置いてくぞ」
「あぁ!待てよ。行くよ、行くってば。腹へったっつーの!」

アーモンドの木の下で4人は束の間の平和を味わった。



・ 書きビトコメント ・

 ☆私がうっかりこんな話を書いたからか、はたまた帰宅中の話が先立ったのか
 もうよく憶えてませんが、楽しんであっちゅう間に書き上げましたが、
 タイトルつけるのを忘れててアップを待たせちゃいました。

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