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ツタワル ツナガル [11/23/(Sat) 00:34]
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 Subject:転居のお知らせ
  同報メールで失礼いたします。
  この度、私もとうとう
  長年の居を離れ東京での新生活を送ることとなりました。
  新住所・電話番号は以下の通りです。
  つきましてはお手数ですが、お手許の住所録をご訂正いただきたく……

 携帯に届いたメールの文章を最後まで読む事すらせず、速攻で電話番号をメモリーに登録する。
 新しい電話番号。03で始まる新しい番号。距離が近くなったからといって、だから=すぐ会えるわけじゃないけど、でもなんだか無性に嬉しい。
 すぐに電話したい。声が聞きたい。でも…またきっと留守電に違いない。…いや? 今メールを送ってきたってことは、今まさに新しい家でパソコンに向かっているって事じゃないか? そうだ、そうに違いない!
 それに。
 今の俺にはどうしても直接話したいことがある。

 今登録したばかりのメモリーを呼び出して、通話ボタンを押す。コール音。そして、受話器の上がる音。
 「はい、もしも……」
 最後まで聞かなくたってわかる、とてもとても聞きたかった声。だから想いがあふれ出る。
 「聞いたスか! 俺、来年……!!」

 今度こそ、伝わる。繋がる。